皆様こんにちは.理学療法士の小野寺です.
GWもあっという間に終わり,5月も後半,暑くなってきましたね.
今日は,昨日の大雨が嘘のように晴れて気持ちいいですね!
花粉が落ち着いてきたかと思えば…
今年もやってきましたこの時期…
熱中症の季節です!!
気温が上がってきますがまだ体が暑さに慣れていないことや湿度が高いこと,また夏と違って水分補給の意識が低いことから要注意です!
こまめな水分・塩分補給,暑さ対策をしっかり行い,予防しましょう.
洗濯や外出,スポーツにはとてもいい天気です.
今週末くらいから,多くの学校で運動会が開催されるようですね
皆さんケガなく楽しんでください!
肩関節障害の予防(インピンジメント障害 腱板損傷予防の観点から)
当院では野球選手の肩関節障害の患者さんが多くいらっしゃいます。その中で多くみられる病態にインピンジメント障害があります。インピンジメント障害の発生についてインナーマッスルとアウターマッスルとの関係から話をしてみようと思います。肩のインナーマッスルは、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの筋肉を指し、不安定になりやすい肩関節を安定化させる重要な役割を担っています。この4つの筋肉はそれぞれの協調しながら肩関節を安定化させ投球時に肩関節がスムーズに動くよう働いています。インナーマッスルが疲労などにより機能不全に陥ると、肩関節の安定性が失われ、インピンジメント症候群や腱板損傷など肩関節障害を引き起こすことになります。肩関節の安定化つまりインナーマッスルを鍛えることが肩関節障害の予防にとってきわめて重要だと私は考えています。
棘上筋腱は肩甲骨から上腕骨に付着しており、肩関節を外転(腕を横に持ちあげる)する役割を果たす。また上腕骨頭を肩甲骨の関節面に引き寄せる(求心位を保つ)重要な役割があります。
棘下筋腱は肩甲骨から上腕骨に付着しており、肩関節を外旋(腕を外向きにひねる)する役割を果たす。
肩甲骨の裏側から上腕骨に付着しており、肩関節を内旋する(腕を内向きにひねる)役割を果たす。
小円筋は肩甲骨の外側から上腕骨に付着しており、肩関節を外旋する(腕を外向きにひねる)役割を果たす。
これら4つのインナーマッスルを日頃よりバランスよく正しく鍛えておくと肩関節の安定性が高まり肩関節障害の予防につながります。
アウターマッスル(三角筋)とインナーマッスル(棘上筋)との関係
肩のインナーマッスルに対しアウターマッスルは、体の表層にあって外から触れることのできる筋肉です。ウェイトトレーニングで鍛えている筋肉はこのアウターマッスルで肩関節の大きな動きに関わる三角筋、大胸筋、広背筋、僧帽筋などがその代表です。

左図のごとく三角筋は上腕骨を外転する役割があり、この筋肉がウェイトトレーニングで肥大したりまたストレッチ不足で固くなると上腕骨頭が上方に変位します。その際に上腕骨頭が上方に変位しないよう上腕骨頭を肩甲骨関節面に引き寄せる働きをしている筋肉の中心がインナーマッスルの棘上筋です。この棘上筋の筋力低下があると上腕骨頭が上方に変位し肩甲骨の上方にある肩峰と上腕骨頭の間にある肩峰下滑液包や棘上筋がその間に挟まってインピンジ(衝突)し炎症がおきます。野球肩の多くにこの障害がおおく認められ、棘上筋の損傷に進行すると投げることがまったく困難になってしまいます。
肩関節障害予防のためにはアウターマッスルを鍛えると同時並行してインナーマッスルをきたえることが非常に重要です。このほかにも肩関節の障害を引き起こす原因としては肩関節や股関節の柔軟性の低下など様々な要因があります。しかしながらどのような状況でも肩関節の求心位を保つ=肩関節の安定性を生み出すインナーマッスルの強化は日常的に野球選手がやっておくべきトレーニングなのです。